ぐだぐだ | ナノ



「なんで松野はマックスなんだ?」

それは突然だった。部活も終わり円堂、風丸、半田、松野という面子で帰りの準備をしていた時に円堂が聞いたのだ。

「…は?え、いきなりどうしたの。」

唐突に話題をふられた松野が困り気味にサッカー部キャプテンにそう聞くと彼はさも当たり前かのようについ30秒前と同じ台詞を言った。なんで松野はマックスなんだ?すると悪ノリなのかなんなのか。キャプテンの幼なじみの風丸もそういえば気になるな、など言って乗っかってくる。

「なんで…って。何となくだけど。マックスの方が目立つじゃん、松野より。半田だって半田より中途半田の方が覚えやすいでしょ?」
「あ?なんだよ、中途半田って。」
「あー!!覚えやすい!中途半田!!」
「やめろ、円堂。」

松野の言った言葉に風丸はうむ、と頷いた。

「確かにニックネームの方が覚えやすいな。マックス、とか中途半田、とか。」
「でしょ?」
「中途半田はニックネームじゃねえからな?」

円堂はそのやり取りを黙って見ていたが次の瞬間ガタリと席を立ち上がり、キラキラと目を輝かせながら3人を見渡した。そんな円堂の様子に何か嫌なものを感じたのか見渡された彼らはゴクリと生唾を飲み込み円堂の口から飛び出すとんでもない言葉に身構える。

「ニックネーム決めようぜ!!」

3人はやっぱりな、とお互い顔を見合わせた。しかし円堂はそんな3人にはお構い無しにニックネームを考えようと一人うーんと首を捻っている。シンキングタイムは約10秒。あ!と部活の時と同じくらいの大声を上げた。

「思い付いた!」
「早いな…」

円堂はにっこりと笑顔を3人に向けた。そして威風堂々と口を開いた。

「マックスは今のままマックス!覚えやすい!!」
「ははっ、変わんないんだ〜」
「半田ははんだっぺ!半田だからだ。風丸はかぜっぺ!風丸の風からとった。それで俺はまもっぺ!守だから!」

円堂自作のニックネームに松野以外の二人は呆れた表情をして円堂を見つめた。円堂はまるで幼い子供のように自信たっぷりに呆れ顔の二人を見ている。

「どうだ、俺の作ったニックネームは。中々だろ。」
「…いや、円堂?〜っぺって、久遠と同じじゃないか…。そんなに自信満々な顔しなくったって…」
「…確かに!冬っぺも冬っぺだな!! ああー!!なるほどニックネームって難しいなー。」

風丸の的確なツッコミも素直に受け止める円堂。そしてまあ、いいや!と笑っていうとがしっ!っと雷門中のマークの稲光マークの入ったかばんを手に取り足早に部室から駆け出しくるりと後ろを振り向きまだ中にいる3人に向かって大きく手を振っている。

「おーい!雷雷軒いこうぜ!!」

円堂のめぐるましく変わる思考に3人はやれやれと溜息を吐いた。しかし所詮中学生だ。彼らは円堂の言葉に直ぐにニックネームのことなど忘れに部室から駆け出した円堂の後を追いかけるように部室を後にした。部室に残ったのは汚く真っ茶色に染まった沢山のサッカーボールたちだけだ。

「ひびっぺにニックネームの極意を教えてもらうぞー!!」
「その呼び方だけはやめとけ円堂。」




035 ニックネーム
-->まちあさま




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