芯が強いというのは、きっとこういう事
「……。」
「ちょっと、そんなお通夜みたいな顔しないでよ。縁起でもない。」
真っ白な病院の一室でなまえは俺の額を軽く小突く
なまえとは草薙さんの紹介で知り合ったハッカー仲間で、これまでも幾度となく彼女の世話になっていて
いつの間にかなまえは俺にとってかけがえのない、大切な恋人になっていた
だが…
「…すまない。なまえをアナザー事件に巻き込んでしまって。」
そう、なまえはplaymaker狩りと称しドクター・ゲノムが起こしたアナザー事件の被害者の一人になってしまっていたのだ
「遊作が謝る事ないでしょ、私が油断したのが一番の原因なんだし。」
「…だが、俺に関わらなければアナザーになる事もなかった。」
ブルーエンジェルが三騎士とのデュエルに勝利し除去プログラムが撒かれた為事なきを得たものの、下手をすれば彼女は一生目を覚まさなかったかもしれないのだ
「言っとくけど私、仮にこのまま目が覚めなかったとしても悔いはなかったから。」
「…どうして。」
「遊作の為に私の人生を捧げたと思えば安いもんよ。好きな人の為なら当然でしょ?」
さも当たり前のように病室のベッドの上で言葉を紡ぐなまえ
その目は強く、真っ直ぐに俺の姿を捉える
「なまえは強いな。」
「遊作程じゃないよ。」
そう言って満面の笑みを浮かべるなまえ
やっぱりなまえは到底、敵いそうもない
俺は心の中で小さく呟いた
芯が強いというのは、きっとこういう事
―――――
除去プログラムのソフト名が流石というか、何というか。