人工知能の誕生日
「あ、Aiに遊作じゃん。」
『おっ、どーしたなまえ。今日は何かいろいろ持ってるな。』
普段通り遊作がホットドッグ屋へ向かうとそこにはアイツの同級生兼、ハッカー仲間のなまえが一足先に来ていた
しかしいつもとちょっとだけ違っていたのは、なまえが沢山の箱や袋を抱えていたことだ
「ああ、これ?今日は私の誕生日だから友達から貰った誕生日プレゼントだよ。」
『へー、なまえは今日が誕生日なのか。いやあ、なまえは友達がいっぱいいるんだなあ。誰かさんと大違いだ。』
「黙れ。」
誰かさんと言っただけなのに遊作からキツーイ一言を頂いちまう
別にオマエとは言ってないだろ
まあ間違ってないけど
「そういえばAiの誕生日っていつなの?」
『へ、俺の誕生日?』
なまえにそう問われ暫しの間、考え込む
そもそも俺は人間によって作られた人工知能、AIだ
端的に言えばAIとして起動した日が誕生日に当たるんだろう
でもハノイの騎士にプログラムデータを奪われた俺には名前は当然、起動日なんて覚えている筈もなかった
『うーん…全く覚えてないな。そもそもAIに誕生日なんて概念、ないと思うぞ。』
「あら、そうなんだ。」
『そんなもんだろ。』
俺がそう告げるとなまえは少しだけ思案の表情を浮かべた後、満面の笑みで両手を叩く
「じゃあ、Aiの誕生日は遊作に捕まえられた日で…」
『嫌だ。』
「断る。」
「…二人してハモって嫌がらなくても。」
いやいや、普通に捕まえられた日を誕生日にするなんて嫌だろ!
すると俺と遊作の嫌がり具合が伝わったのか、なまえはもう一つの案を口にする
「じゃあAiと私が出会った日がAiの誕生日!それならいいでしょ?」
…まあ、それなら悪くないかも
『それならいいぜ。』
その言葉を聞いて嬉しそうに笑顔を浮かべるなまえはやっぱりイイヤツだと再認識したのだった
人工知能の誕生日
―――――
空を飛んだのは衝撃的でした。