この想いが背徳だとしても


「翔一お兄ちゃん。…まだ起きてる?」


月の光が淡く照らす深夜

自室の扉が静かに開き、おずおずとなまえが顔を見せる



「ああ、起きてるよ。…また怖い夢でも見たか?」


その言葉になまえはこくりと頷き、そのまま部屋へと入れば俺のベッド中にもぞもぞと潜り込む



なまえは弟のアイツよりも1つ下の妹で、昔は3人でよく遊んだものだ


だが10年前のあの事件でアイツが行方不明になった事、そしてあんな状態で戻ってきた事に幼いながらショックを受けたんだろう

暫くの間、なまえは一人でいるのを酷く怖がっていた


年月が経ちようやく人並みの生活が出来るようになったものの、悪夢を見た時なんかはやはり怖いのか俺の所へ来る事は未だに続いていた



「いつもごめんね、翔一お兄ちゃん。怖い夢を見た後、一人でいるのが怖くって…。」

「気にすんなって。むしろ頼ってくれて兄ちゃんは嬉しいぞ。」



これは半分本当で、半分嘘だ


頼られるのは兄として、勿論嬉しい

だがなまえの事を密かに家族以上の情で見ている俺にとってなまえと二人っきりでいる事自体、理性との戦いなのだ


「ありがとう、翔一お兄ちゃん。…お兄ちゃんは何処にも行かないでね。」



ぎゅっと俺の服を掴んだと思った矢先、直ぐに静かな寝息を立てて眠るなまえ


起こさぬようそっとなまえの顔に触れると目元が少し濡れている

大方、俺がいなくなる夢でも見て泣いたんだろう



「何処にも行かないし、嫌だって言っても離してやらねえよ。…なまえ。」


隣で安心したように眠るなまえの額へ軽く口付け、俺はその体を小さく抱きしめた


この想いが背徳だとしても

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弟は遊作と同い年なんですかね。
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