不意討ちの一発
「翔一。頼まれてた情報、集めてきたよ。」
「ありがとな、なまえ。やっぱり情報収集はお前へ頼むに限る、だな。」
「まーね。昔のよしみで、代金はちょっと安くしといてあげる。」
学生時代からの付き合いであるなまえは現在情報屋として生計を立てていて、欲しい情報等があるとたまに依頼している
当初は危険だと反対していたが昔から自分が決めた事には一直線だった彼女を説得出来る筈もなく、せめてもとこうして依頼を通じてちょくちょく会う仲になっていた
「そういえばさー、弟くん…あれからどう?」
「相変わらずだ。…何の進展もなくてもどかしいもんさ。」
「…そっか。」
それ以上は何も言わず、俺が作ったホットドッグにかぶりつくなまえ
気を使わせて申し訳ないと思う反面、何気ないその優しさが嬉しかった
「…ま、進展があったら教えてよ。私も何か情報を掴んだら教えるし。」
「ああ、ありが……」
感謝の言葉を伝えようとした瞬間、不意になまえの唇が頬へと触れた
突然の事に呆然としていると、明るい笑顔を浮かべるなまえ
「元気出せ!それと頑張れ、翔一!」
それだけ告げて彼女は走り去ってしまった
「…ったく、不意討ちすぎんだろ…。」
熱を持つ片頬を押さえながら俺は一人、見えなくなった彼女の背に向かって呟いた
不意討ちの一発
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一撃だと如何にも痛そうだったので一発に変更しました。