お兄ちゃんは度が過ぎる過保護
「草薙さん、大事な話がある。」
ある日の学校が終わったと思われる夕方、遊作が急いだ様子で俺の所へとやって来た
「急にどうした、遊作。…まさか、ハノイの騎士に関する事か?」
何かハノイに関する情報があったのだろうか
すると遊作は真剣な顔をしながら口を開く
「なまえが今日、友達とLINKVRAINSに行くと言っていた。誰と行くのか直ぐに調べてほしい。」
「……ああ、なまえのことか。」
なまえは遊作の妹でアイツはとにかく溺愛…というか、度が過ぎる位なまえに対して過保護だった
「そもそもなまえももう15だろ。男友達は勿論、彼氏だっていてもおかしくないんじゃないか?」
「まだなまえに彼氏なんて必要ない。」
LINKVRAINS内の映像を解析している中で遊作にやんわり告げてみたものの、即座にピシャリと言葉を返される
…これは相当な過保護だな
「お、このアバター。これがなまえで間違いないだろう。」
「隣にいるのは。」
「そう急かすなって。えっと……これはなまえと同じクラスの男子だな。多分男友達って所だろ。」
「………。」
表情が比較的顔に出ない遊作だが今現在苛立っているような、とにかく機嫌が悪いってのはよくわかった
「草薙さん、今からコイツを完膚なきまでに叩きのめしてくる。」
「待て待て、ハノイの騎士相手じゃない一般人だ!ネット上で何言われるかわかったもんじゃないぞ!?」
「直ぐにネット巡回して消すから問題ない。」
「いや問題ありまくりだって!……あー…行っちまった。」
俺の言葉等聞こえていないのか、あっという間にLINKVRAINSへと向かってしまった遊作
…そういや以前、なまえがいつか素敵な彼氏が欲しいとか言ってたな
「…なまえ。お前に彼氏が出来るのはまだまだ先みたいだ。」
今頃男友達がPlaymaker相手に叩きのめされている所に否応なく立ち会っているだろうなまえを不憫に思い、俺は小さく合掌した
お兄ちゃんは度が過ぎる過保護
―――――
こんなお兄ちゃんは嫌だ。