一難去ってまた一難
「なまえ、これは?」
「やだなあ、葵ってば。ハロウィンの衣装だよ、衣装。私に任せるって言ったじゃん。」
「…確かにそう言ったけど。」
ある晴れた日曜日
自宅へ遊びに来たなまえが大きな袋を提げていた為何かと尋ねた所、中身はハロウィンの衣装らしい
彼女の説得に根負けした形とはいえ、確かにハロウィンにはなまえと仮装をする事を約束した
でも問題はその中身だった
「ちょっとこれは…」
「えー、嫌なの?折角手作りしたのにー、ブルーエンジェルの衣装。」
そう、なまえが袋から取り出したのはとても見覚えのあるブルーエンジェルの衣装だったのだ
「…その、私には似合わないと思うんだけど。」
「そんな事ないって!確かに葵は美人系でブルーエンジェルは可愛い系だけど、メイクで何とかなるよ!」
確かに何とかなるかもしれないが、流石にシャレにならない
何より仮装とはいえ、自分のアバターの格好をするなんて恥ずかしい事この上ない
…何とかしてなまえを説得しなきゃ
「なまえ、あのね」
「…あっ。もしかして葵、ホーリーエンジェルの方が良かった?」
「…え?」
ホーリーエンジェル?
「やだー、トリックスター・ホーリーエンジェルだよ。確かに葵ならそっちも似合いそう!」
「あのなまえ、ちょっと…」
「わかった。じゃあブルーエンジェルの衣装は私が着るし、葵はホーリーエンジェルね、決定っ!」
キラキラと目を輝かせながら楽しそうに話すなまえ
何とか現実世界でアバターの格好をせずに済んだものの、結局気恥ずかしい仮装をする事に変わりなかったのだった
一難去ってまた一難
―――――
ハロウィンネタを一つ。