繋がった手と手
「うー、寒いっ。何だか一気に寒くなったねえ。」
「そうだな。」
ひんやりとした秋風が吹くこの日、幼馴染みのなまえは立ち止まって小さな体を縮こまらせる
今朝は日が差して暖かかったものの、秋は天気が変わりやすいとはよく言ったもので
放課後には日は陰り、すっかり肌寒くなっていた
「夕方には寒くなるってわかってたら上着位持ってきてたのになあ……遊作は寒くない?」
「少し肌寒いが大丈夫だ。」
肌寒いとは言ったが我慢出来ない程ではない寒さだ
そう返答し再び足を進めようとした所、右手が温かい何かに包まれる
それがなまえの手だと気付くのに時間は掛からなかった
「…なまえ?」
「遊作も寒いならこうして手、繋いでようよ。そうすればあったかいでしょ?」
そう言ってにこりと笑い掛けるなまえ
繋がった手から徐々に伝わってくるなまえの温かさと優しさ
こういった肌寒い日もたまには悪くないかもしれない
そう思いながら俺は少しだけ、繋がった手に力を込めた
繋がった手と手
―――――
近頃風が本当にひんやりしてきた気がします。