自由奔放で幼子のような貴女
「ねえスペクター、何か面白い事してー。」
「面白い事とはなんですか、なまえ。」
「んー…変顔とか?」
「お断りします。」
VR空間で幼子のように足をパタパタと動かす少女、なまえを見て思わず溜め息が漏れる
なまえは我々ハノイの騎士の仲間で、ハッカー技術も一流のものを持っている人間だ
だがその力がリボルバー様や組織の為に使われる事はほとんど無く、専ら私やリボルバー様をからかって遊んでいるのが日常茶飯事だった
「…なまえ。たまにはリボルバー様や鴻上博士の手伝いをしなさい。貴女の腕があればあの計画を進める事も可能でしょう。」
リボルバー様は既に匙を投げたのかなまえの好きにさせてはいるが、きっと後々支障が出てくる筈
そう考えてなまえに仕事を与えようとしたものの、彼女は全く聞く耳を持たずに意味もなくホップ、ステップ、ジャンプをしている
「むー、気が向いたらするー。」
「母親から宿題をするように言われた子供の言い訳ですか。気が向く、向かないの問題じゃありませんよ。」
「スペクターからまさかの例えツッコミ。やっぱスペクターって面白ーい!」
笑いながらそう言葉を紡ぐと私に勢いよく抱き付くなまえ
「なまえほら、離れなさい。」
「えー、やだー。」
ぴったりとくっついたまま離れようとしないなまえ
「…仕方ないですね。」
結局私もなまえには甘いのだ
自由奔放で幼子のような貴女
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初めてのスペクター夢。