妹のような存在
「エマさん!頼まれてた資料、データに纏めておきました。」
「助かるわ。ありがとう、なまえ。」
「えへへ。」
私が感謝の言葉を告げると彼女、なまえは嬉しそうに笑顔を浮かべる
なまえと出会ったのはもう3、4年も前だっただろうか
雨の中、路地裏で震える12、3歳程の小さな少女を見つけたのが切っ掛けだった
その時は思わず連れ帰ってしまったが、後々児童誘拐なんて騒ぎ立てられたら堪ったものじゃない
次の日警察へ捜索願いが出されているかを確認してみたが、該当する人物はいなかった
施設や病院、警察のデータバンクにも侵入してみたものの少女が何処の誰なのかはさっぱりわからない
オマケに本人へ聞いてみても名前はおろか、自分が何処から来たのかもわからないようだった
「こうなったら警察へ連れて行って、保護してもらった方がいいわね。そうしたら施設にも入れてもらえるハズだから…」
私が保護してるよりもそっちの方がずっといい
そう考えて警察へ連れて行こうとした所、その少女が私の手をきゅっと掴んだ
「私…おねえちゃんの傍がいい。」
「そういう訳にもいかないのよ。」
今にも泣き出しそうな少女を宥めようとした中、件の少女が少しずつ喋り始める
「…おねえちゃんだけが、私に優しくしてくれたの。その分、恩返ししなきゃ私…生きていけない。」
「恩返しだなんて大袈裟ね、そんな事しなくていいの。」
「じゃあ…おねえちゃんの弟子になる!それならいいでしょ?」
「弟子?」
何を言っているのかと一蹴しようとしたものの、少女のキラキラと輝く瞳が私を捉える
「…仕方ないわね。」
その後私は少女に『なまえ』と名前を付け、今も一緒に暮らしている
「エマさん、エマさん。」
「はいはい、何の用かしらなまえ。」
名前を呼べばトコトコと此方へ寄ってくるなまえ
何だか妹が出来たみたい
可愛らしいなまえに目を細めつつ、私は彼女の頭を優しく撫でた
妹のような存在
―――――
初のエマさん夢。