何でもわかりあえる関係
「………はあ。」
「また一段とデカい溜め息だななまえ。一体何があった。」
仕事を終えたらしい恋人のなまえから『直ぐに会いたい、迎えに来て』と連絡があったから迎えに来たはいいものの、当の本人はそのまま俺の家へ足を踏み入れて直ぐに大きな溜め息を吐く
「…今日ね、上司から重要なポジションの仕事を君に任せるって言われたの。」
「そりゃ良かったじゃねえか。」
「いや、確かにそれはいいんだけど…プレッシャーというかのし掛かる責任感というか……はあ。」
「つまり自信が持てなくてプレッシャーに押し潰されそうって事か。」
そう言うが早いか、スーツのまま俺のベッドにダイブするなまえ
シワになるぞと思ったものの今現在、この世の終わりのような顔をしてるなまえにそんな事を言っても無駄だろう
「なまえ。」
そうやって名前を呼べばうつ伏せ状態から上目遣いで顔を此方へ向けるなまえ
…畜生、可愛いな
「初めは誰だって緊張するもんさ、失敗だってする。でも大切なのは諦めないで続ける事。…だろ?」
そう告げて髪をくしゃくしゃと撫でてやれば、徐々に彼女の表情は明るさを取り戻していく
「やっぱり翔一は凄いなあ。不安感がスッと消えてったみたい。」
「そりゃなまえの事は何でもわかってるからな。」
「…じゃあ今、私が翔一にしてほしい事は?」
小首を傾げながら尋ねるなまえ
そんなもん、考えるまでもない
「答えは抱き締めてほしい、だ。」
「正解っ!」
なまえが抱きつくのが早いか、俺が抱き締めるのが早かったか
俺達は二人、笑い合いながら強く抱き締め合った
何でもわかりあえる関係
―――――
割と…というか、プレッシャーに弱いタイプです。