守りたい、ただ一人を


「なまえ、大丈夫か?」

「うん…ありがとう、遊作。」



そう言って風邪を引いた為に咳き込むなまえの額に乗っている濡れタオルをもう一度冷やして乗せてやる


「お母さん達は旅行に行っちゃったし、お手伝いロボットもメンテナンスに出しちゃってて…」

「わかってる。だから無理して喋るな。」


申し訳なさそうな表情をするなまえの傍らで近場にあったリンゴを切ってやる



なまえは5年前、俺が過去を奪われた後に出会った少女だ

孤独だった俺へ気さくに話し掛け、手を差し伸べてくれた
同世代で俺が唯一、気を許せる人物でもあった



リンゴを切りながら過去を思い出していると、何故か寝込んでいたなまえが小さく笑った



「…ふふっ。」

「どうした、なまえ。」


「ううん、何でも。…遊作は優しいね。」

「…余計な事を言ってないで寝ろ。寝て早く治せ。」

「はあい。」



そう言って布団を被り、眠りにつくなまえの顔を真っ直ぐ見つめる



幼馴染みと呼ぶには短い関係かもしれない

恋人と呼ぶにも相応しい間柄ではないかもしれない



それでもなまえの傍にいて守ってやりたい

復讐を遂げたとしても



そう思いながら、眠るなまえの髪をそっと撫でた


守りたい、ただ一人を

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遊作の学校の授業、ちょっと懐かしいです。
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