恋心を自覚するまでは時間が掛かる


「え、えーっと……それじゃあ早めに運んじゃおうか、藤木くん。」

「ああ。」



いるのかどうかはわかんないけど神様仏様、一体どうしてこんな事になったのでしょうか



掃除の時間、廊下で掃き掃除をしていた私に顧問の先生は部活で使う道具を部室へ運ぶよう頼んできた

勿論、それはわかる


だが偶然、そこを通り掛かったクラスメートの藤木くんに私の手伝いを頼むのは如何なものか



「その…何かごめんね、藤木くんの手を煩わせちゃって。」

「別に気にしてない。」

「そ、そっか。」



ほら、この感じ!

口数も少なくて怒ってるような感じもするし、かといって表情は特に変わってないし…


どう接していいのかわからなかった為、私はちょっと藤木くんが苦手だった



「みょうじ。」

「は、はい!?」


そんな事を思っていた矢先、いきなり藤木くんが私の名前を呼ぶ

…顔に出てたのだろうか



「ていうか、私の名前…」

「同じクラスなら当たり前だろう。」


「ですよね!」



思わず緊張して声が上擦る

そんな私を藤木くんは怪訝な顔をしながら眺め、私が持っていた荷物をひょいと自分で抱えてしまった



「あ、あのー…藤木くん、重いでしょ?私持つよ?」

「重くない。」

「でも…」



結構な重さと量があるというのに、藤木くんは普段通りの表情のままだ

細身に見えるけど、やっぱり男子なんだなあ



「みょうじ。」

「な…何でしょう!?」

「部室までの道案内をしてくれ。」

「りょ、了解です!」



藤木くんに名前を呼ばれる度、何だか胸が落ち着かない

緊張してるのかと思ったけど、それとはまた違う気もする


そんな私が藤木くんへの恋心を自覚するまで、あと数日


恋心を自覚するまでは時間が掛かる

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部活懐かしいですね。
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