ある日常の1コマ
「うーわ、大分濡れちゃったね遊作くん。翔一にい、タオル貸してー。」
「おう、なまえと遊作か。夕立に見舞われるなんざツイてないな。」
学校が終わり2つ学年が上のなまえさんといつも通り草薙さんの店へ向かっていた所、急に夕立に見舞われ全身ずぶ濡れになってしまった
「ほら遊作。」
「すまない、草薙さん。」
なまえさんは草薙さんの従姉妹に当たる人物で、昔からよく世話を焼いてもらっていた
文武両道な上正義感が強く、学校の生徒会長も務めている皆から尊敬されるような人物だ
…だが、そんな彼女にも僅かに困った部分がある
「なまえ!だからこんな所でシャツを脱ごうとするな!」
「だーって、濡れたままじゃ気持ち悪いじゃん。」
「その箱に新しいTシャツが入ってるから、それ着てろ!…遊作、悪いが一旦外に出るぞ。」
「わかった。」
大きな溜め息を吐き、頭を抱えながら俺と共に一度車外へ出る草薙さん
そう、彼女の困った部分とは良く言えばおおらか
悪く言えば人目を気にしない、大雑把な性格だったのだ
以前それとなく俺や草薙さんが困惑する事をなまえさんに伝えたのだが、彼女から返ってきた言葉は『別に減るもんじゃないし、気にしない気にしない!』だった
「…何か悪いな、遊作。いっつもなまえの事でバタバタしちまって。」
「気にするな。なまえさんのおおらかさは今に始まった事じゃない。それに…」
「ねー、翔一にい。スカートも濡れちゃったから脱いでいいー?あ、スパッツ穿いてるから安心していいよ。」
「待て待て待て!スカートは流石にダメだ、お前女子だろ!?」
扉の隙間から顔を覗かせたなまえさんが、また草薙さんを困らせるような言葉を紡いでいる
慌てる草薙さんと対照的に全く気にしていないなまえさん
そんな二人を眺めつつたまにはこういう賑やかな日常も悪くない
そう思いながら俺は小雨になった空をそっと見上げた
ある日常の1コマ
―――――
コンパクトに纏めきれませんでした。反省。