芯が強く誇らしい恋人
「なまえ!SOLテクノロジーに辞表を出したというのは本当か!?」
「もうそっちの耳に入ってんの?流石に早いねー。そ、昨日付けで出してきた。」
私が部長職から降格させられて数日後、急に部下であり恋人でもあるなまえが辞表を提出したと知った
慌ててなまえに連絡を取り確認した所どうやら本当らしい、彼女はあっけらかんとした様子で頷いた
「何故そんな事を……君はセキュリティ部門の中でも優秀な人間だったというのに。」
彼女の優秀さはSOLテクノロジーの中でも折り紙付きで、どんな仕事もスピーディーに仕上げる上にミスもない
人望も厚く、将来は重要な役職に付くのではないかと噂されていた程だったのに
「だーってあの新しい上司、全っ然部下の事見てなくて野心丸出しなトコとか嫌気が差すの。晃のトコに飛ばしてって言っても拒否されるし。」
まさか上司相手に直談判までしていたとは知らず、なまえの決意の固さに驚く
だが…本当にこれが彼女の為になるのだろうか?
「しかしなまえ…」
「私、尊敬出来る上司の下でしか仕事したくないから。」
私が紡ごうとした言葉を彼女の強い言葉が遮った
そして、なまえの両手が私の頬を包む
「大丈夫、もう次の職場は決まってるから。これでも結構引く手数多なんだよ?私。」
「…本当に大丈夫なのか?」
「平気平気!それに、今度から社内恋愛じゃなくなるし気を使う必要ないでしょ?」
そう言って満面の笑みを浮かべるなまえ
ああ…なまえが私の恋人で本当に嬉しいし、誇りに思う
私は小さく感謝の言葉を紡ぎ、彼女と抱き締め合った
芯が強く誇らしい恋人
―――――
尊敬出来る上司、大事ですよね。