棚からぼた餅
「ううー…最低最悪の休日だよ。」
「だから止めとけと言ったんだ。」
澄み渡った青空が広がったある休日、俺の隣に座っている幼馴染みのなまえはガックリと項垂れている
原因は如何にも単純明快といったもので
「だって佐藤くんが女子だったら誰彼構わず声掛ける最低野郎だと思わないじゃん!?」
「俺は最初に言った筈だ、アイツは止めておけと。それを聞かなかったのはなまえ、お前だろう。」
「ぐっ…」
彼氏との初めてのデート日に待ち合わせていたなまえが沢山の女子をナンパする彼氏の姿を見掛けてしまった為、強烈なストレートパンチを食らわせてきた
ただそれだけの話だった
「はあ……男運ないのかな、私。」
「運の前に、まず見る目がないと思うが。」
なまえは新しく彼氏が出来る度に何故か俺に報告へ来るが、その相手が二股を掛けていたりナンパばかりしている男だったりと一癖も二癖もあるヤツばかりで
その都度忠告はするが全く聞き入れず、同じ事の繰り返しになっていた
「もー、遊作が言ってくれないからだよ!」
「だから、俺は前からちゃんと言っていただろう。なまえが聞いていないだけだ。」
八つ当たりにも程がある
そう考えて口を開こうとした瞬間、いきなりなまえに指を差される
「佐藤くんにパンチした事、学校中に知れ渡ってもう絶対彼氏出来ないし……責任取って遊作の彼女にしてよね!」
「……は?」
全く俺に責任はない筈だが、何より彼女は本気なのだろうか
「浮気したら遊作にドロップキック食らわせてやるから!」
「誰がするか。」
少なくとも彼女は本気らしいし、俺もなまえを嫌っている訳じゃない
こんな付き合い方になるとは思わなかったが、最終的に棚からぼた餅といった所だろう
だから、佐藤には少しだけ感謝しよう
微々たるものだが
棚からぼた餅
―――――
全国の佐藤さん、すみませんでした。