口には出さない感謝
「こんにちはー、草薙さん。遊作もヤッホー。」
「相変わらず騒がしいな、なまえ。」
「うわヒドっ!幼馴染みに対してヒドくない?」
夕方、学校が終わった時間だろう
オレの相棒であるPlaymakerサマがいつも通りにハノイの騎士の情報収集をしているとその幼馴染みであるなまえがやってきた
「Aiもヤッホー。調子はどう?」
『どうもこうも、相変わらずPlaymakerサマに捕まったままだ。まあ調子は変わらず、といったトコだな。』
皮肉混じりに言ってみたものの、Playmakerサマは顔色一つ変えずにキーボードを叩いてやがる
面白くねーの
「しかしAiもハノイの騎士とSOLテクノロジー社の両方に追われてて大変だね。」
『ふふん、そこが人気者の宿命だな。まあPlaymakerサマはオレがサポートしてやるし、負けな…』
なまえとの会話が盛り上がっていた所、キーボードを叩いていた手を止めてPlaymakerサマがこっちを向いた
「二人ともうるさいから黙っててくれ。」
「『はい。』」
それだけ一言言うと再び始まるキーボードを叩く音だけが響く空間
つまんねーと思っていた矢先、なまえがこっそりと話し掛けてきた
「…ね、Aiってハノイの騎士に記憶奪われちゃったんでしょ?」
『まーな。オレが何で逃げてたのかもさっぱりわからない状態だし。』
「すぐには無理かもしれないけどさ、早くAiの記憶、戻るといいね。」
そう言って屈託なく笑うなまえ
正直捕まった時はがっかり感しか無かったワケだが、ハノイの騎士やSOLテクノロジー社に捕まるよりは天と地程の差があるだろう
何より、こうしてなまえのように話し掛けてくれる人間もいる
オレはちょっとだけPlaymakerサマに感謝した
絶対言ってやらないけど
口には出さない感謝
―――――
Aiちょっと可愛いです。