朴念仁の反則技
「おー、うさぎちゃん!ほら見て遊作、可愛いよねえ。」
「ああ。」
「あっ、フクロウ。モフモフしててこっちも可愛い!」
「ああ。」
休日に恋人の遊作と録画していた動物関連の番組を一緒に観ていたのだが、彼は興味がないのかまたはどうでもいいのか相槌を打つばかり
流石にこの状態が2回3回と続けば現状を我慢している自分が馬鹿らしく思えてしまい、半分も観ていない所で私はリモコンの停止ボタンを押した
「どうしたなまえ、飽きたのか?」
「いやその台詞、逆にこっちが言いたいけどね!さっきから私が動物可愛いって言ってるのにさ、遊作ってば相槌打つばっかじゃん。」
突然番組が中断した事を不思議に思っているらしい遊作に先程からの不満…もしくは八つ当たりといった類の言葉を投げ掛ける
だが彼は怒る訳でもなくましてやショックを受ける訳でもなく、ゆっくりと口を開いた
「正直、動物に然程興味はない。」
「…やっぱり。」
「小動物を可愛いと言って喜ぶなまえの方が可愛らしいと思っていたから、番組はどうでも良かった。」
「……っ!?」
普段通りの表情、口調で淡々と事実だけを述べる遊作
その言葉で一気に両頬へ熱が集まるのを感じる
「…そういうのは反則でしょ。」
「何か言ったか?」
「な、何でもない!」
此方の顔を覗き込む遊作に対し、私は照れ隠しでそっぽを向く事しか出来なかった
朴念仁の反則技
―――――
小動物可愛いです。うさぎとかネコとか。