分け与えられる温もり
「なまえ。ごめんなさい、待たせちゃって。」
「大丈夫、私も今来た所だから。それよりはい、アイス買っておいたよ。」
「ありがとう。」
放課後私は真っ直ぐ家へは帰らず、広場で待ち合わせたなまえと一緒にアイスを食べながら時間を過ごしていた
なまえとは学校は別々だったものの、こうして時間が合えば一緒に過ごすのが当たり前のような
お兄様以外に私が信頼出来るただ一人の存在だった
「それにしてもアイス食べた所で全然体温下がらないんだけど。ほら。」
「…本当だ。なまえの手、温かいわね。」
そう言って私の手に自身の手を重ねてくるなまえ
確かに、彼女の手は熱を帯びていて私の手より温かかった
「逆に葵の手はひんやりしてるね。でも手が冷たい人って心が温かいんだって。」
「その理屈でいくとなまえの心は冷たい事になるわよ?」
「うっ……そ、それは置いといて。葵、また何か悩んでるでしょ。」
そう言って私の両手を包み込むなまえ
彼女は昔から人の心の機微に敏感な少女だった
「何に悩んでるかはわかんないけど、私は葵の味方だからね。それだけは忘れないでよ!」
「…ありがとう、なまえ。」
お兄様の事、LINKVRAINSでの事
悩みは尽きないけれど、なまえと話していると何だか此方まで心が温かくなれる
満面の笑みを向ける彼女のおかげで自分の手もほんの少しだけ温かくなった、そんなような気がした
分け与えられる温もり
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人より体温が少し高い為眠いのとか、熱あるのとかよく聞かれます。