永久就職先の予約


「翔一、こっちこっち!」

「なまえ!収穫は?」

「まだほとんど。SOLテクノロジーのセキュリティ、開発に関わる部門なんてろくに情報すら開示してくれないし。」



人気の少ない路地裏で俺はなまえから僅かな資料を受け取る

なまえは俺の弟の情報を得る為、SOLテクノロジー社に入社し内部から手掛かりを探ってくれていた


だが相手はSOLテクノロジー
簡単にいくような相手ではなく、なかなか手掛かりは見つけられずにいた



「…なあなまえ。俺の弟の為だからって、お前が無茶をする必要は……いてっ!」


俺や遊作がやっている事もそうだが、露見すればただで済む筈もない

大切な恋人であれば尚更危険な橋は渡らせたくはないのが本心だ


そう言って彼女を心配したものの、当の本人からは何故かデコピンを食らわされた



「なーに言ってんの。翔一が困ってんのに力になれないで何が恋人よ。」

「なまえ…」


「それに、例え解雇されたって翔一の所っていう永久就職先があるから心配してないし。まあ解雇で済めばの話だけど。」

「ああ………え?」



今、永久就職先がどうとか聞こえた気がするんだが


「なまえ、今…」

「お、もうこんな時間。もうすぐ会議始まっちゃうからもう行くね、翔一。」

「いや、だから」


「私が情報を手に入れるまでお店、潰さないでよ。翔一と一緒にお店やるのが私の夢なんだから!所謂……そう、永久就職先の予約!」


そう言って俺を指差してからSOLテクノロジー社に向かって駆け出していくなまえ



「永久就職先とか一緒に店やるとか……あっさり言ってくなよ。」


なまえのそのプロポーズとも取れる言葉に対し、俺は嬉しさと気恥ずかしさからただ立ち止まっている事しか出来なかった


永久就職先の予約

―――――
SOLテクノロジーへの入社は大手企業だけに大変そうな気がします。
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -