Good bye my little sister.
「このカードはリンクマーカー1つにつき400のダメージを与える。ハイドライブナイトを破壊したマーブルド・ロックのリンクマーカーは3つ!更にリンク2以上のマリンセスがいる時、バトルで破壊した相手モンスターのリンクマーカー1つにつき500のダメージを与える!よって貴方に与えるダメージは合計2200!」
「うわあー!」
ブルーメイデンが発動した罠カードの効果ダメージで僕のライフが0になっていく
…ああ、僕は負けたのか
この場所で敗北すれば消滅するのは最初からわかっていた
自分が消え行く中で思い出したのは鬱陶しいとばかり思っていたボーマン…僕の兄さん
そして…
「…なまえ。」
たった一人の僕の妹、なまえ
「……ル、ハル!」
「だから僕の事は名前で呼ぶなって言ってるだろ、なまえ。キミは僕の妹なんだから兄さんって呼ぶようにしなよ。」
「わかった。ごめんね、ハル。」
「……はあ。」
こんな調子で同じ事を何度も繰り返す少女…なまえは兄さんと同時期に作られたAIだ
なまえは人間で言えば15、6歳といった見た目だから外見だけで言えば僕が弟になるのかもしれないけど、先に作られたのは僕の方だからなまえには僕を兄と呼ぶように何度も伝えてる(まあ1度として守られた事はないが)
「ねえねえハル。そんな事より今日も教えて、外の世界のこと。」
「はいはい。」
なまえはイグニス…彼らが作ったこの城から外に出る事は許されていない
理由は簡単、なまえには兄さんのいざという時のスペアという役目があるからだ
スペアに不具合があっては存在する意味がない
だからなまえは比較的自由に動ける僕に対し外の世界を知りたいと懇願、こうしてたまに僕が話す外界の様子を知る事がなまえの唯一の楽しみになっているようだった
「ありがとう、ハル!今日の話も楽しかった!」
「また気が向いた時にでも話してやるから、大人しくしてろよ。」
「はーい。」
そう言ってなまえはヒラヒラと手を振りながら自室へと戻っていく
それから数日後なまえに調整が施される事になった為、それからなまえとはずっと会えず仕舞いで今日、消滅という最悪の結果を迎えてしまった
「…こんな事になるなら、顔だけでも見ておきたかったな。」
自分の体が光の粒になって消えていく中、走馬灯のように思い出されるのはなまえの笑顔と暖かい陽だまりのような声
「…さよなら。僕の大切な妹、なまえ。」
消滅する直前
なまえが僕を呼んだような、そんな気がしながら僕の体は消えていった
Good bye my little sister.
―――――
ハルの退場が一瞬過ぎて。