07
『どうした尊。今日はやけにご機嫌じゃないか。』
「え、そうかな?」
私と尊が闇のイグニス…もといAiやそのパートナーであるPlaymakerと接触した日の帰り道、ふと尊の方を見やれば何処と無く嬉しそうな表情を浮かべている
片田舎である湊町から出てきて以来、彼のこんな顔を見るのは久方ぶりだ
『LINKVRAINSを救ったヒーローであり、君と同じ境遇だったPlaymakerに会えた事が嬉しかったのか?』
「それは勿論、嬉しかったよ。…でも、Little Red Hoodに会えた事も同じ位嬉しかったっていうか…」
そう言ってはにかみながら頬を掻く彼に対し、私は成る程と納得する
先程出会った少女…確か、名はみょうじなまえと言ったか
ハノイの騎士と戦ったPlaymaker、GO鬼塚、ブルーエンジェル達の事を彼が憧れているのは知っている
だが雑誌やネット上で取り上げられる事はなかったものの常にPlaymakerの傍らにいたデュエリスト、Little Red Hoodの事が彼には一番気になっていたという事も私は知っていた
「なあ不霊夢。Little Red Hoodってさ、凄く楽しそうにデュエルをするんだよ。」
『それは私も知っている。』
「はあ…僕も一度Little Red Hoodとデュエル、してみたいな。勿論、みょうじさんとも。」
普段のフニャフニャした状態から更に頬を緩ませている尊だが、よく見ると僅かに頬が赤くなっている気がする
『尊、もしかして君は…』
「ん?」
『……いや、何でもない。』
「何だよ、変なヤツだな。」
きっと彼はまだ自分の気持ちを理解していない、所謂無自覚な状態だ
そのような状態で私が意見する等、まだ少し早計だと思う
ならば彼が自分の気持ちを自覚するまで、私は尊を傍で見守る事としよう
『これからもパートナーである君を、私が温かい目で見守ってあげようと思ってな。』
「…その上から目線は止めてくれよ。」
そう呟きながら溜め息を吐く尊を余所に私は一人、彼を見守る意志を固めるのだった
自称保護者の密かな決意
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一応補足すると穂村は自分では憧れだと思ってます。