05
「……くん、遊作くん?」
「なまえ。…すまない、気付かなかった。」
全ての授業が終わった放課後
教室の外でなまえを待つと約束していた筈だったがいつの間にかなまえは既に俺の横にいて、逆に彼女が考え事をしている俺を待っている状態になっていた
「また昨日の事、考えてたの?」
「…ああ。」
昨日の事というのは草薙さんの弟の意識データが何者かに奪われ、その人物を追っていた事で
ボーマンと名乗る人物にデュエルで勝ったまでは良かったものの、意識データを奪い返す事は叶わなかった
途中の追っ手を引き受けてくれたSoulburnerと名乗るデュエリストの事も未だ何者かわからない
そんな中、ふとなまえが背伸びをして俺の髪にそっと触れる
「…なまえ?」
「大丈夫。大丈夫だよ、遊作くん。」
きっと彼女なりの、俺を気遣った行動なのだろう
優しいその心遣いに凝り固まっていた心が解されていくような、そんな感覚を覚える
そんな中でサイバース世界から戻り、再び人質生活となったAiが俺達を呼び止める
…周囲に気付かれるから静かにしていろと言っていた筈なんだが
「Ai、黙れと言った筈…」
『待て待て、俺に連絡してきたヤツがいるんだって!』
「連絡?」
Aiに連絡する人物等全く心当たりがなくその内容を訝しんでいた所、なまえが俺の腕を軽く引いて何かを訴える
それに気付いて背後へ視線を向けると誰かが慌てて空き教室へと入っていく姿が見えた
「…どうやら今隠れた相手も無関係ではなさそうだな。」
『だから言ったじゃん。』
「Aiちゃんに連絡してきた人って一体どんな人なんだろうね。」
『ま、人とは限らないけどな。』
接触を図ってきたのが誰であれ、少なくとも今さっき空き教室に身を隠した人物はその事と無関係ではないだろう
何やら話し声が聞こえる教室の扉を開き、俺となまえは件の人物と対面を果たす事となった
接触者との対面
―――――
あんなに後ろから付いていったら誰でもバレますよね。