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「…なまえ。」



意識の戻らないなまえが病院に運ばれ、もう3日は経っただろうか

未だ目を覚まさないなまえの様子に俺の心配は募るばかりだった

心配から足しげく病院へ通っていた所、草薙さんに俺の事を聞いた尊がなまえの病室前で声を掛けてくる



「やっぱり此処にいたね、遊作。草薙さんから聞いたよ。なまえさんが病院に搬送されてからろくに食べてないし、寝てないんだって?」

「ああ。」

「…一応自覚はあるんだ。」



あの時、ブラッドシェパードの罠にもう少し早く気付いていればなまえがこんな目に合う事はなかったんじゃないか

そう考えるとどうしても食事や睡眠を取る気にはなれず、こうして何度も病院に足を運んでしまっているのが今の現状だった



「あれは……」


そんな事を考えながらガラス越しのなまえを見つめていると、何故か彼女の身体が仄かに光っているように見える


もしかしたら照明の関係かとも思ったが、どう考えても説明がつかない

彼女に何か起きているのかと思った瞬間、不意に肩に何かが乗った感覚を覚える



『ユウサク!ユウサク!』

「お前は…」


肩に乗ってきたのはなまえが可愛がっているうさぎ型のAIロボットで、ソイツはしきりに俺の名を連呼する



「静かにしろ。此処は病院…」

「わあ、可愛いロボットだね。この子は遊作のかい?」

「違う。コイツはなまえのAIロボットだ。」


問い掛けられる内容に対し直ぐ否定の言葉を紡ぎ出すものの、ある疑問が浮かび上がる


普段なまえはコイツを自宅に置いている筈だが…何故今、この場にいるのか

…まさかAIロボット自身が考え、自ら持ち主の元へとやってきたとでも言うのだろうか



『なまえ、なまえ!』

「……そうだ、なまえは…」



AIロボットがなまえの名を呼び始めた事で先程の出来事を思い出し再度彼女の方を振り返ってみたもののなまえの身体は光っておらず、静かに眠り続けているだけだった


あれは俺の見間違いだったのか、それとも彼女を心配し過ぎるが故の気の所為だったのか

到底腑に落ちない事だったがそれを確かめる術等ある筈もなく、看護師に促され俺達は病院を後にする


なまえが目を覚ましたのはそれから半日後の事だった


ガラス越しの不可思議な出来事

―――――
多忙で更新が滞ってます。


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