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『起きろ!Soulburner!』
何処からともなく聞こえてくる俺を呼ぶ誰かの声
それが不霊夢の声だと認識出来たのは徐々に意識が戻り始めていた、まさにその時だった
「うっ…此処は?」
『此処はブラッドシェパードが作り出した罠の中だ。』
ようやく意識がはっきりした俺に対し、先に目覚めていた不霊夢から大体の現状を聞かされる
あのゲートはブラッドシェパードによる偽物のゲート、罠だったという事
ブラッドシェパードが俺の記憶を盗み見ていた事を教えられた
『本来ならPlaymaker本人、もしくは彼に近しい彼女の記憶を盗み見る筈だったのだろうが、どうやら上手くいかなかったようだ。』
「彼女?…って、Little Red Hood!」
不霊夢が指差した先には俺の隣で意識を失っているLittle Red Hoodこと、なまえさんの姿があった
きっとPlaymakerを庇おうとして俺と同じように罠に掛かってしまったんだろう
心優しいなまえさんならそんな行動を起こしていても不思議じゃない
そんな事を考えていると罠を仕掛けた張本人、ブラッドシェパードが姿を現しイグニス…不霊夢を奪うと宣言してきた
はいそうですかと渡す権利や義務等ある筈もなくデュエルが始まろうとしたまさにその瞬間、ヤツが俺を…正確に言えば俺の背後の方を指差す
「貴様、あの女は何だ。」
「はあ?」
「イグニスと共にあの女の情報を渡せ。」
おそらくさっき不霊夢が言ってたなまえさんの記憶を盗み見る事が出来なかった事
その事がヤツに興味を抱かせてしまったんだろう
「生憎、彼女の事をお前に教えてやる義理なんてねえよ。」
此処にいるのは俺と不霊夢、そしてブラッドシェパードだけ
だったらなまえさんを守れるのは俺しかいないだろう
「…ちょっとだけ待ってろよ、Little Red Hood。」
ブラッドシェパードを倒して、すぐにこの空間から抜け出させてやるからな
未だ意識を失ったままのなまえさんに小さく声を掛けてからヤツの方へと向き直れば、互いの視線が交わり
「「デュエル!」」
戦いの火蓋が今、切って落とされた
守らねばならない存在
―――――
三体の闇より出でし絶望はある意味笑いました。