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「草薙さん、ゲートが現れたって本当?」

「ああ、前回は最下層部進入禁止エリア。今回は上層部にある浮島の1つ。このエリアはまだ開発中で施設も少なく、行く者も少ない。」



俺となまえが店に着いた時は既に皆が集まっていて、草薙さんがディスプレイにゲートの場所を表示してくれる


『ウィンディの野郎!』

『人気のないエリアとはいえ、大胆な事をする。』


草薙さんのおかげでゲートの場所が特定出来た為直ぐに俺達がLINKVRAINSへと向かおうとした所今まで状況を見守っていたなまえが突然デュエルディスクを身に付け始めた為、草薙さんが慌てて止めに入る



「待て待てなまえ、お前は此処で俺と留守番だ。」

「ううん、私も行く。だってウインディちゃんはAiちゃん達の友達でしょ?もし風のワールドが消滅してやっと逃げてきたなら、助けてあげなくちゃ!」

『いやなまえ、俺別にアイツと友達じゃないんだけど…』

「いいよね、遊作くん?」


本気でウインディの事を気に掛けているのがわかる位真剣な眼差しを此方へ向けてくるなまえに対し、彼女を言いくるめられる程の話術を俺が持ち合わせている筈もなく

無茶をしないという条件付きでなまえもLINKVRAINSへと足を踏み入れる事となった



『おおー、あれだあれだ。』

「この前のとちょっとイメージが違わないか?」

『でも大きさはあのくらいだったぜ。』


AiとSoulburnerのやり取りを一瞥しながらゲートへと近付いた瞬間、何処からともなく指を鳴らす音が聞こえてくる

そしてその音を認識するのが早いか否か、突然ゲートの中心に吸い込まれそうな強風が発生した



「何だこれは!」

『引っ張られる、引っ張られるよー。』

「ブラッドシェパード!?」


ゲートの先に現れた人影を見た瞬間これがヤツの仕組んだ罠だと理解したものの、吹き荒れる風は俺を吸い込むように強さを増していく


「危ないっ!」

「Playmaker!」


ほぼ同時にLittle Red HoodとSoulburnerの声が耳に届いたと考える間もなく、俺の体は吸い込まれそうになっていたゲートからは弾かれ

代わりに両者がゲート内に吸い込まれるとその入口は消失し、大きな球体状の空間を作り出してしまった



「Little Red Hood、Soulburner…。」



あれが罠だと早く気付いていればなまえを、二人を危険に晒す事はなかったかもしれない

俺を庇ってブラッドシェパードの罠に掛かってしまったなまえ達の事を悔やみながらも、俺は草薙さんに二人を救う手立てを求める他なかった


周到に用意された罠

―――――
草薙さんも騙されるプログラムの構築、流石でしたね。


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