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「遊作くん。さっき食べたケーキ、おいしかったね。」
「ああ。」
「あー、でもあのチーズケーキもおいしそうだったからちょっと食べたかったかも。…あっ!さっき食べたショートケーキを貶めてる訳じゃないよ!?」
「わかってる。」
先程のカフェで食べたケーキの事を話している最中、思わず口から出てしまった言葉に対し慌てて弁解し始めるなまえの様子が可愛らしくて少しだけ表情が緩んだのが自分でもわかった
あの後俺の手を引きながらなまえが向かったのは街中にある大きなショッピングモールで
中へ入るとなまえは併設されているペットショップや雑貨店、カフェ等色々な店へ俺を連れていった
正直ペットショップの小動物や雑貨に興味を抱く事はなかったが、何処へ行っても楽しそうにしているなまえを見られただけで俺自身はとても満足していた
「でも結局、私の行きたい所にばかり遊作くんを引っ張ってた気がして……ちゃんと遊作くんの気晴らしになったか心配だなあ。」
「いや、十分な気晴らしになった。ありがとう、なまえ。」
「遊作くん…。うん!こっちこそ今日は一日、一緒に過ごしてくれてありがとう!」
そう言って屈託ない笑顔を此方へ向けるなまえ
その笑顔を見ていると何故だか鼓動が速まり彼女をこの腕に抱き締めたくなるような、そんな衝動に襲われる
「なまえ。」
「ん?」
急に呼び止めてしまった彼女は不思議そうな表情を浮かべながら首を傾げたまま、此方を振り返る
そんななまえの手を取り引き寄せようとしたその瞬間、互いの端末音が鳴り響く
「あ、草薙さんからだ。」
「…そうだな。」
あまりのタイミングの悪さに思わず溜め息が漏れそうになったが、その内容は風のワールドに繋がっているかもしれないゲートが出現したとの重要な情報で
俺となまえは互いに顔を見合せ、どちらともなく草薙さんの所へと走り出したのだった
気晴らしの終了を告げる着信
―――――
再び本編に戻ります。