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「ではなまえ、少し此処で待っててくれ。」
「わかった。」
ある天気の良い平日
街中にある公園のブランコに腰掛けたなまえは私の言葉に対し、小さく頷く様子を見せる
今日はSOLテクノロジーにいる我々の協力者から情報を得る為に外出する予定だったのだが、それを知らないなまえが自分も一緒に行きたいと言い出した
無論、リスクを考えればなまえを外へ連れ出さないのがベストなのはわかっている
だがようやく再び信頼を寄せ始めてくれたなまえの望みを断るのはどうにも気が引けてしまい、協力者と接触する少しの間だけこの公園で待っててもらう事にしたのだ
「先程も言ったが、決して知らない人間についていってはならない。」
「うん。」
「アイスクリームをくれると言ってもだ。」
「うん。」
……既に何度も一人で買い物に出た事のあるなまえに対して我ながら過保護である事は否めないと思いつつ、私はその公園を後にした
それから1時間は経っただろうか
ある程度の情報を得て公園に戻る途中で偶然、アイスクリームの移動販売車を見かけた
「…待たせた詫びに買っていくか。」
好物を見て嬉しそうに笑うなまえを想像しながら公園へ戻った所ブランコに腰掛けていたなまえの姿は沢山の花が咲き誇る花壇の前にあり、その隣にはなまえと同世代程の…どうにも見覚えのある少女がいた
「なまえ、帰ろう。」
「了見。…あの……私、もう帰る…」
「そうなの。じゃあまた今度一緒にお話ししましょう、なまえ。」
「……うん!」
なまえに向かって手を振る件の少女……SOLテクノロジー社セキュリティ部長である財前晃の義妹、財前葵
何故彼女がなまえと共にいたのか
SOLがなまえの存在を気に止めるとはとても考えにくいが、可能性はゼロではない
「了見…どうかした?」
「…いや、何でもない。それよりほら、待たせた詫びだ。」
「……!ありがとう、了見。」
私が差し出したアイスクリームを嬉しそうに受け取るなまえを見てしまってはどうにも彼女…財前葵の事は聞きづらい
「…後日、聞いてみるか。」
すっかりアイスクリームに夢中ななまえを微笑ましいと思う反面
彼女とはどういった関係なのかが気になってしまい、何だか私の心は薄雲が掛かっているかのように落ち着かないのだった
気になる関係性
―――――
過保護な了見。