24
「了見、もう体調はいいの?」
「ああ、大丈夫だ。」
なまえの看病の甲斐もあり、体調が回復した私はなまえを連れて久しぶりに街の中心部へと来ていた
本当は看病をしてくれたなまえに対し何か礼をしなければと思い欲しい物はないかと尋ねたのだが、なまえから返ってきたのは特にないという返答
それでは私の気が済まないと伝えた所それなら了見と一緒に街を歩いてみたいと告げられた為、こうして二人で散策に出掛ける事になったのだ
「なまえ、本当に欲しい物はないのか。」
「うん。私…何か欲しくて了見の看病、した訳じゃないから。」
「そうか。」
なまえにそこまで言われたら私の意見を強要するのも酷な事だろう
せめてなまえの好きなソフトクリームでも買った後に帰ろうと広場の近くを歩いていた所、大きな歓声が聞こえてくる
ふと足を止めて其方に視線を向ければ丁度LINKVRAINS内での映像が映し出されているようで、ブルーエンジェルやGO鬼塚といった所謂カリスマデュエリストと呼ばれる人間達がデュエルを行っているようだった
「…虚構の世界でアイドルやカリスマを気取る者達の心意等、私には理解出来ないな。」
奴等は勿論、その者達にうつつを抜かしている有象無象達の事も私が理解する気はある筈もないのだが
そう心の中で蔑みながらなまえとの散策を再開しようとした私だったが、その足を思わず止めてしまう
「…なまえ?」
私の後ろを歩いていた筈のなまえの姿が見当たらない
「なまえ!何処だ、なまえ!」
彼女から目を離したのはたった僅かな時間だったが…これは私の致命的なミスだ
最近ようやく人や環境に慣れてきたなまえは少しずつだが色々な物に興味を抱くようになった
言うなれば小さな好奇心を内に秘めた幼子のようものだとわかっていた筈なのに
「…どうか無事でいてくれ、なまえ。」
ただ迷子になっただけならその方がまだいい
変な輩に絡まれたり拐われたりしたら、なまえはまた深く傷付いてしまうかもしれない
悪循環に陥りそうになる思考を何とか払拭させ、私はなまえを捜し始めるのだった
失態からの捜索
―――――
新アバターがカッコ良すぎて話の内容がたまに入ってきません。