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「お…おはよう、了見。」



なまえが風邪を引いてから数日後、どうやら体調は良くなったらしい

昨日も以前と比べて顔色は良く、食事もきちんと食べていた


だが…



「風邪…大丈夫?」

「…ああ、大丈夫だ。」


なまえの看病をしていた私が今度は風邪を引いてしまうというお粗末な結果に我ながら溜め息が出てしまう

…彼女の風邪を貰わぬよう、気を配っていたつもりだったんだが


幸い高熱等は出なかった為普段通りに過ごそうとしていたものの、咳き込んでいた私を見たなまえが慌ててベッドへと戻したのだ



「あの…了見のご飯、作ってきた。」

「なまえが?」


小さく頷く彼女からトレーを受け取ればそこには不恰好に剥かれているリンゴと、少し焦げた状態の粥が乗っている


「…ごめんなさい。了見みたいに上手く作れなかった。」


そう言ってなまえは両手を後ろに隠したが、私は見逃さなかった

恐らくリンゴを剥く時に切ったのだろう、彼女の指に幾つもの絆創膏が貼られていた事を



「なまえ、ありがとう。」

「え…」

「体調を崩した私の為にここまでしてくれて、感謝しかない。」



てっきり叱られるとでも思っていたのだろう

一瞬驚いた表情を浮かべたなまえだったが、感謝の言葉を聞いて直ぐに顔を綻ばせた


そんな彼女を愛おしいと思いつつ粥を一口、口内へと運んでみる

少々焦げつきはあったが優しい粥の味が口一杯に広がっていくような、そんな気がした


看病のお返し

―――――
看病するお話も書きたいと思ったので。


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