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「なまえ、卵粥を作ってきた。食べられるか?」

「…卵粥?」


風邪を引いたらしいなまえの為に卵粥を作ってみたものの、どうやら今までに粥を食べた事がないのだろう

果たしてこれは食べ物なのかと疑問符を頭上に浮かべたまま、不思議そうな眼差しで卵粥を眺めている


「米を柔らかく煮た料理だ。普段食べている白米よりも食べやすいだろう。」


そう説明すれば納得したのかなまえは少しずつ卵粥を口へと運び、食していく

全て食べる事は叶わなかったが少量でも食事を取ってくれた事に私は内心、胸を撫で下ろしていた



「なまえ、今までに風邪を引いた事は?」

「ない…と思う。あの時は何もかもが極限状態、だったから…。」



そう呟くと過去を思い出しているのか布団を握りしめ、少しだけ項垂れるなまえ


初めてなまえに出会った時のあの状態から鑑みても、酷い環境下に置かれていた事は想像に難くない

それでも…


「なまえ、食事が終わったならこの薬を飲むんだ。風邪によく効く。」

「了見…これ、苦い匂いがする。苦いのは、嫌。」

「良薬は口に苦しと言うだろう。薬を飲まないと、ソフトクリームはあげられないな。」

「………。」

「なまえ。」

「……わかった。」



私の問い掛けに対し暫くしてからようやく頷き、顔をしかめながらも薬を飲むなまえ


こうして今、なまえが普通に暮らし

普通に喜怒哀楽の表情を浮かべられるようになった事はとても喜ばしい事だと思う


「…ん。」

「わかってる。ソフトクリームだな。」


そんな事を考えていた中、薬を飲み終えたなまえが再度ソフトクリームを要求する

幼子のようなその所作に小さく笑みを浮かべつつ私はなまえの為、ソフトクリームを取りに向かったのだった


少しずつ増えてきた、人らしい表情

―――――
コンビニのソフトクリームがおいしくてつい、買ってしまいます。


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