01


「父さん…。」



太陽が傾き始めた休日の夕暮れ

自宅から程近い公園で私は一人、スターダスト・ロードが見られる海を眺めていた



SOLテクノロジーの監禁から解放された父は長い間昏睡状態に陥っていて、未だに目を覚ましてはいない

それでも父に変わって私がイグニスを抹殺しなければ人類の未来はない


そう誓って拳を強く握りしめたその時、周囲の人々から何やら奇妙な会話が聞こえてくる



「あの子…どうしたのかしら?」

「まるで事故にでも巻き込まれたみたい。」



その会話が気になり、軽く周囲を見渡してみた所おそらくこの人間の事を言っていたのだろう

木陰に膝を抱えて座り込んでいる一人の少女を見つけた



年齢はおよそ10代後半といった所だろうか

だがその少女は上から下まですすや土で薄汚れており、靴も履いておらず裸足でその場に座り込んでいたのだ



しかし皆口々に心配する言葉を紡ぎ出すが面倒事には関わりたくないのか、少女に手を差し出そうとする人間は誰一人いなかった


気の毒だと思ったものの、見ず知らずの人間に手を差し伸べる程私は善人ではない

そう考えて自宅へ戻ろうとした時、一瞬その少女と視線が交わる


その瞳からは怯えや絶望、そして孤独に苛まれている事が瞬間的に読み取れた

再度その少女へ視線を向けたものの少女は顔を俯かせてしまった為、その表情を窺い知る事は出来なかった



「…だが、私にはどうする事も出来ない。」



そう自分へ言い聞かせるように呟くも、垣間見えた少女の怯えや孤独感に染まった双眼が私の後ろ髪を引く

その幻影を振り払うように私は足早に公園を後にしたのだった


私を捉える孤独な双眼

―――――
名前変換は2、3話位になるかと思います。


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