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「なまえ、買い物は終わったか?」

「うん、これで全部。」



ある日の休日、私は久しぶりになまえと街中で買い物に来ていた

本当は買い物に慣れたらしいなまえ一人で行かせるつもりだったのだが当の本人から今日は私と出掛けたいと申し出があり、共に買い物へ出る事となったのだ



「しかし、何故急に私と出掛けたい等と言ったんだ。」


以前三騎士達が言った通りなまえは以前より大分買い物もスムーズに出来るようになり、道も覚えているようにも思える

私が同行する必要性は感じなかったのだが



「理由は…特にないけど、今日は了見と一緒がいいと思ったから。」

「…そうか。」



深い理由は微塵もないと理解している

それでもなまえが私を求めてくれたようで、何処か嬉しさを覚えている自分がいるのもまた事実だった


そんな中、ふとなまえが歩いていた足を止める

どうしたものかと彼女の方に視線を向ければなまえは水族館のリニューアルオープンのポスターを不思議そうに見つめていた


「水族館に行きたいのか?」

「水族館?」


おそらく今まで見た事も聞いた事も無いのだろう

なまえは何の事だかわからないといった表情を浮かべている



「水族館は魚や水中の生物がいる施設だ。」

「…魚屋?」

「違う。食用ではなく、観賞する為に展示している。」

「楽しいの?」

「それは個人によるだろう。」


だが水族館という施設を理解しきれていないのか、なまえは難しい顔をしながら首を傾げてしまう


無理もない

これまで長い間デュエルを強要され続けたなまえはデュエル以外の事をほとんど知らずに生きてきたのだから



「なまえ、水族館へ行ってみるか?」

「…いいの?」

「ああ。」



幸い今日はまだ時間がある

それになまえが興味を持った事はなるべく尊重し、その知識を深めてやりたい


そう考えた私は期待と不安に胸を膨らませているなまえを伴い、水族館へと向かうのだった


少女が興味を抱いたもの

―――――
やっぱり水族館が好きなので。


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