12


私がなまえの過去を知ったその日

彼女が目を覚ます事はなく、ようやく目を覚ましたのは次の日の朝だった



「……。」

「起きたか、なまえ。」

「私…」

「昨日、広場で気を失ってからずっと眠ったままだった。…気分はどうだ。」


そう尋ねながら温かい紅茶を差し出すとベッドから起き上がったなまえは小さな声で大丈夫、と紡ぎながらカップを受け取った



「……ごめんなさい。」


しかしなまえはカップには口をつけずただ一言、謝罪の言葉だけを口にする


「何故謝る。」

「だって迷惑、掛けた…」

「迷惑だと思っていたなら、とっくに追い出しているだろう。」



その言葉に対し、彼女はおずおずとした表情で此方を窺うように見つめる

…流石に今の言い方は良くなかったか



「少なくとも、私はなまえの事を迷惑だと思った事はない。」

「……本当?」

「ああ。」



私が頷けば何処か安心したようにほっと息を吐くなまえ


いつもなまえが何かに怯えたような表情を浮かべているのはおそらく過去の経験に起因するものと考えて間違いないだろう

デュエル嫌いはどうする事も出来ないかもしれないが安心出来る居場所を与え、守ってやる事は出来る筈だ


「なまえ、お前は私が守ってやる。」

「守、る…?」

「そうだ、だからもう怖がらなくていい。此処がお前の居場所だ。」



すると、なまえの目から涙がぽろぽろと零れ始める

気に障る事でも言ってしまったかと一瞬考えたものの、彼女は首を横へ振りながら私の服を掴む


そしてただ一言、『ありがとう』と呟いたのだった


守りたいと思える存在

―――――
了見は過去を知ってもトラウマを思い出させないように黙ってます。


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