彼女が他の男に笑い掛けるなんて許せない
「なまえ。」
「あれ、遊作くん?」
「来い。」
放課後何処の部活にも所属していない恋人のなまえは今まさに下校しようとしていた所だったが、俺は彼女の手を掴み有無を言わさず引っ張り歩く
「え、えっ?ちょ…遊作くん、どうしたの?」
訳がわからないのか怪訝な顔をするなまえと無人の廊下を無言で歩き続ける
そして空き教室になっている一室に彼女を押し込め、勢いよく扉を閉めた
「遊作くん…何か怒ってる?」
そこでようやく此方を見たなまえが怒っているのかと尋ね掛ける
正直、怒っている所の騒ぎじゃない
「……れだ。」
「え?」
「昼休み、なまえと談笑していたのは誰だ。」
それは今日の昼休み、少し俺が席を外した間に彼女は違うクラスの男子生徒と笑いながら話をしていた
それが酷く癪で、こうしてなまえ本人に真意を確かめようとしたのだ
「あ、あれは同じ塾に通ってる子だよ。来週塾でテストがあるから大変だよねって話をしてて…」
「話の内容なんかどうでもいい。」
俺はなまえの笑顔、声、存在全てを誰にも渡したくはないというのに、なまえは何故わかってくれない
「いっ…!い、痛いよ遊作くん。ちょっとだけ手、離し…」
「離さない。」
気付くと掴んだ手に力が入ってしまっていたのか、彼女が痛みを訴える
だが、それでも俺は手を離そうとはしなかった
離したら彼女が遠くへ行ってしまいそうな、そんな気がしたから
「ゆ、遊作く……っ!」
次第に困惑と小さな恐怖の色を瞳に宿し始めたなまえの腕を強く引き、無理矢理唇を重ねる
「なまえは俺のものだ。」
誰にも渡さない
絶対に
彼女が他の男に笑い掛けるなんて許せない
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ありす様リクエストの遊作夢、嫉妬やヤンデレといった話でした。気に入って頂けたら嬉しいです。