アイツの突き刺すような視線が痛い
「なまえ、ほら。」
「ありがとう、遊作くん。」
放課後店へやってきた遊作に二人分のホットドッグとドリンクを手渡すと、遊作は隣へ座るなまえにそれを手渡してやる
なまえに礼を言われた遊作は普段と打って変わって、とても穏やかな表情を見せていた
「なまえ、飲み物は足りてるか?足りないなら草薙さんに頼むが…」
「大丈夫だよ、十分足りてるから。オレンジジュース、遊作くんも一口飲む?」
「じゃあ、一口貰う。」
高校入学と共に遊作はなまえと知り合って付き合い始めたらしいが、どうもアイツはなまえにかなり惚れ込んでいるらしい
少し目を離した隙になまえがナンパされた際はハノイの騎士相手かと思う位に敵意剥き出してそいつらを追い払っていたし、ただ道を聞いてきた男にも眼光鋭い視線を向けていた
「いつもおいしいホットドッグをありがとう、草薙さん。」
「礼なんかいいって、なまえ。うまそうに食ってくれてるだけで……わーかった、わかったからそんなに見るなよ遊作。」
普通の会話をしてるだけなのにそれすら気になるのか、遊作の視線がチクチクと刺さる
「遊作くんも、いつも草薙さんのお店に連れてきてくれてありがとう。」
「なまえの為なら当然だ。」
しかしなまえはそんな様子に気付いた事はなく、遊作にも礼を紡ぐ
なまえに礼を言われた事で遊作の機嫌も良くなったらしい、纏っている雰囲気も少し柔らいだようだ
「…でも、俺にまで突き刺さるような視線を向けるのは止めてもらいたいもんだな。」
仲睦まじく寄り添う二人の背に向かって俺は一人、車内で小さく呟いた
アイツの突き刺すような視線が痛い
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青柳様リクエストの遊作夢、遊作が夢主にベタ惚れな話でした。気に入って頂けたら嬉しいです。