お互いに大切な存在
「遊作の馬鹿!」
そう言って幼馴染みのなまえはベッドに置いてあった枕を俺へ向かって投げ付ける
「私もハノイの騎士と戦う!」
「なまえには無理だと言っているだろう、何度言えばわかるんだ。」
この押し問答もかれこれ10分は続けている
確かになまえのデュエルタクティクスは目を見張るものがあるが、それでもハノイの騎士と渡り合えるかと言えば不安の方が大きい
何よりハノイの騎士との戦いは危険過ぎる為、彼女を巻き込みたくはない
そう思ってなまえを説得しているものの、彼女はまるで聞く耳を持たなかった
「遊作こそ何でわかってくれないの!」
「なまえ、何を言って…」
「私だって遊作の過去を取り戻してあげたい!遊作の手伝いをしたいの!」
双眼に涙を溜めながら強い瞳で此方を見つめるなまえ
その言葉と表情で彼女が本気だという事、彼女の決意が窺える
だがなまえが大切に想ってくれているように、俺もなまえが大切だからこそ危険な事には関わらせたくない
そんな事を考える中、気付いたら俺は彼女を抱き締めていた
「…遊作?」
「……上手く言えないが…なまえが大切だからこそ、危険な事には関わらせたくない。だから、なまえには俺のサポートをしてほしい。」
俺が考える精一杯の妥協案に彼女は暫く押し黙ったものの、やっと小さく頷いた
「じゃあ、遊作が負けそうになったら私が助けに行く。それだけは譲れないから。」
強い意志で言葉を紡ぐ彼女に対し、俺はハノイの騎士との戦いの決意を新たにしながらなまえの髪を優しく撫でた
お互いに大切な存在
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茨薔薇様リクエストの夢主が大切だからハノイとの戦いに関わらせたくない遊作と、遊作が大切だからハノイとの戦いに関わりたい夢主の話でした。気に入って頂けたら嬉しいです。