無意識の好意はもどかしい
「おう、なまえ。今日も遊作と一緒か。」
「うん。遊作くんに提出物のレポートを見てもらったから、翔一お兄ちゃんのホットドッグをお礼にって思って。ね、遊作くん。」
「ああ。」
俺の従姉妹であるなまえは遊作と同じ歳の同じクラスで、偶然この店で出会ってから互いに親しくなったようだった
まあ親しくなったとはいえ、まだ彼氏や彼女といった関係ではなさそうだが…
「あつっ!」
「なまえ、大丈夫か?」
「う、うん大丈夫。ちょっとポテトが熱かっただけだから。」
「これを飲んで冷やせ。」
なまえが出来立てのポテトで口内を軽く火傷したと見れば遊作が自分で飲んでいたコーラを分けてやり
「あ。遊作くん、口の下にケチャップ付いてる。…ほら、キレイになったよ。」
「…ああ、ありがとうなまえ。」
遊作の顔にケチャップが付いてればなまえがハンカチで丁寧に拭ってやっている
端から見ればどう見ても付き合っているような様相なのに、どっちからも告白はおろか好意を匂わす言葉すら紡いでいないんだからもどかしいったらありゃしない
「お前等なあ…それ、お互いに無意識でやってんのか?」
「え?」
「草薙さん、何か言ったか?」
「…いーや、何でも。」
俺の言葉が聞こえなかったんだろう
同時に此方を振り向いた遊作となまえの姿が余計恋人同士のように見えてしまい、俺は小さく苦笑を零した
無意識の好意はもどかしい
―――――
ゆき様リクエストの遊作夢、両片思いで無意識に夢主とイチャイチャしてる話でした。気に入って頂けたら嬉しいです。