きっと果たせない約束
「ふんふーん。」
「あらなまえ、何をやってるの?」
電脳空間でのある一室
私達にとって娘のような存在であるなまえが何やら鼻歌混じりに室内の装飾データを書き換えていた
「あっ、バイラさん!もうすぐクリスマスだからツリーやプレゼントの装飾データを施そうと思って。」
「もうそんな時季だったのね。すっかり忘れてたわ。」
そう言って楽しそうに次々とデータを書き換えていくなまえ
リボルバー…あの子とあの子よりも少し幼いなまえは血の繋がりはないものの、ずっと本当の兄妹同然に育ってきた
でもいつしかあの子はハノイの騎士のリーダーとなり、なまえに危機が及ばないよう自分からなまえを遠ざけ
電脳空間と現実世界の両方で、なまえの世話を私に頼んだのだ
「ねえバイラさん。お兄ちゃん、このお仕事が終わったらまた小さい時みたいに一緒に遊んでくれるかな?」
なまえは何も知らない
これからあの子が歴史に残るような大罪を犯そうとしている事を
「勿論よ、なまえ。」
「そっかあ。クリスマスまでにお仕事が終わって、みんなで一緒にクリスマスのお祝いが出来るといいね!」
「…ええ、きっと。」
きっと果たせない約束
真実を隠したままの私は無邪気に笑う、純真無垢ななまえをただ抱きしめる事しか出来なかった
きっと果たせない約束
―――――
バイラさん再登場を願います。