バカはお互い様なのかもしれない
「ふんふーん。」
『ねえちょっと、なまえ。』
「ふふふーん♪」
『これは完全に聞こえてないね。』
此処は電脳空間に作られたとある場所
その中で僕らの仲間であるなまえは僕の言葉等、全く聞こえていないかのように鼻歌を歌っている
彼女が何故こんなにも楽しそうにしているのか
そんな事は考える間もなく簡単なものだった
「はい、これで完成!やーん、ウインディってば可愛いー!」
『一体これの何処が可愛いのか、1から10まで説明してもらいたいね。』
なまえはそう言って僕の頬にあたる部分を何度もつつく中、僕は盛大な溜め息を吐く
何故なら僕の姿はなまえの手によって赤と白の服を着させられ、頭上には大きな星を飾られていたからだ
なまえがこの12月25日のクリスマスを楽しみにしていた事は知っていたけど、まさか自分が巻き込まれるだなんて予想もしてなかった
というかコレ、クリスマスツリーとサンタクロースがごちゃ混ぜになってない?
せめてコンセプト位は統一しようよ
『あのさなまえ、この格好なんだけど…』
「うーん、ウインディはいつも可愛いけど、今日はすっごく可愛い!家に持って帰りたいくらい!」
文句の1つでも言ってやろうとした僕の言葉を遮るかのようになまえはへにゃりと笑いながら、小さな僕の体を勢いよく抱きしめる
…ああ、なまえは本当にバカだ
『…仕方ないな。今日だけなら現実世界に顔、出してやってもいいよ。』
「えっ、嘘!?」
『本当だって。その代わり、ライトニングには内密にね。バレたら何言われるかわかったもんじゃないし。』
「やったあ!ウインディ、大好きー!」
きっと、そんなバカに付き合う僕も相当のバカなんだろうな
そう考えながら僕はただ全身で喜びを表現しているなまえを見て、小さく笑みを浮かべたのだった
バカはお互い様なのかもしれない
―――――
一人称は僕の方にしました。