不器用な恋
「ああ、此処にいたんですか。探しましたよ、あばたー。」
「……げ。」
「げ、とは何ですか。仮にも私と貴女は仲間なんですから、そんなに嫌な顔をしなくても良いとは思いますが。」
「だったらその胡散臭い笑い、やめなさいよ。アンタのそういう所、嫌い。」
それだけ言って眼前の彼女…あばたーは他所を向いてしまう
ハノイの中でも相当な腕を持つあばたーはリボルバー様や三騎士からの信頼も厚く、彼女自身もその期待に応える為に人知れず厳しい努力を重ねている努力家だ
特にリボルバー様の役に立とうとしている事は端から見ていても良くわかる為に親近感を抱いた私があばたーに接触しようとしたものの、リボルバー様に近しい存在である私が気に食わなかったのだろう
面と向かって『私はアンタが嫌い』と言われてしまった
だが今まで私にそんな事を言ってきた人間は皆無に等しく、あばたーとは真逆に私は彼女に好意を抱いていった
「わかりました。もしあばたーが私にデュエルで勝てたら貴女が言う胡散臭い笑いというものをやめますよ。」
「嘘じゃないだろうね?」
「私があばたーに嘘を吐いた事がありましたか?」
「…いいよ。この勝負、受けて立つ!」
キッと此方を睨み付けるような視線を向け、デュエルディスクを構えるあばたー
今、こうしてデュエルをしている間あばたーは私だけを見ていてくれる
これを喜びと言わず、何と言うべきか
「いきますよ、あばたー。」
「ふん、返り討ちにしてやるから。」
ああ、その強気な顔も声も、全て私のものにしたい
…あばたーとのデュエルに勝ち続ければあばたーを手に入れる事が出来るのでしょうか?
この考えが正解なのかわからない私はただひたすら、彼女にデュエルを求めるしか自分の好意を伝える術がなかったのだった
不器用な恋
―――――
私が書くスペクターは何故か打たれ強い性質になります。