暇をもて余したハノイの遊び
「あれスペクター、何やってんの?」
「おやあばたー、丁度良い所に来てくれましたね。」
「丁度良い?」
電脳空間内で何やら作業らしき事をしていたスペクターに声を掛けた所、何処か楽しげな様子で喜ばれる
丁度良いってどういう事だろう?
「先程新たなプログラムを構築してみましてね、試して頂ける方を探していたんですよ。」
そう言うが早いか否か、スペクターが私の方へプログラムと思しきキューブを手渡してくる
そしてそのキューブを受け取った瞬間眩しい程の閃光が辺りを包み込み…
「な、何これ!?」
次に目を開けると、私が着ていた白を基調としたハノイの服はいつの間にかレースがたっぷり使われた可愛らしいメイド服に変わっていた
「予想通り、良くお似合いのようで。可愛いですよ、あばたー。」
「はあ、ありがと……って、そうじゃなくて!新しいプログラムってイグニスを消す為とか、リンクマジックに対抗するプログラムじゃないの!?」
「何を言ってるんですか、あばたー。私は新たなプログラムを構築したとしか言ってませんよ?」
いやいや、真面目な顔して構築してたプログラムがまさかの着せ替えプログラムだなんて誰も思わないでしょ
しかも何でちょっとドヤ顔なの
「もしかして、メイド服はお気に召しませんでしたか?それならそうと、早く言ってくれれば良いのに。」
「いや、そうじゃなくて……って、だから!勝手に人の服を変えるなー!」
私の声を完全に無視したままスペクターはドレスや着物、はたまたミニスカ制服等、様々な衣装を私に着せて楽しんでいる
「あっ、リボルバー!ちょっとスペクターを止めてよ!」
その時偶然にもリボルバーが通り掛かった為、私は彼に助けを求める
リボルバーに諌められれば流石にスペクターも止めるだろうし、やっと解放される…
「スペクター、あばたーの勇ましい戦いぶりは戦乙女を彷彿とさせる。甲冑はどうだ。」
「流石リボルバー様、きっとあばたーに良く似合うでしょう。」
「おいコラリボルバー。」
何で崇高なるハノイのリーダーと参謀が揃いも揃って部下を着せ替え人形にして遊んでんのよ
「だが、あばたーの肌をむやみに晒すような甲冑は認めない。」
「ご安心を、リボルバー様。あばたーの凛としたイメージに沿った甲冑のデータを即座に探します。」
「二人とも暇なの!?」
結局二人が飽きるまで私は着せ替え人形として、成すがままにされるしかなかったのだった
暇をもて余したハノイの遊び
―――――
構想からして楽しかったです。