お兄ちゃんは度が過ぎる過保護5
「なまえ、今日は何の日か知ってるか。」
ある日の車内
俺と作業をしていた遊作が突然上記の言葉をなまえに対して問い掛ける
今日って確か…11月23日だろ?
「お兄ちゃん、急にどうしたの?今日は勤労感謝の日でしょ。」
「違う。」
「え、違ってないじゃん。じゃあ…ゲームの日。」
「違う。」
「外食の日。」
「違う。」
むしろ勤労感謝の日以外に制定されたものがあったのか
なまえの知識の豊富さに俺が感心していた所、作業をしていた遊作が手を止めてなまえへと向き直る
「なまえ、今日はいい兄さんの日だ。」
「…真顔で冗談言わないでよ、お兄ちゃん。頭おかしくなった?」
「冗談じゃない。俺は正常だ。」
真面目な顔でさも当然と言い放つ遊作
…ああ、父の日や母の日みたいになまえから何かしら感謝してもらいたいんだな
「いい兄さんって…お兄ちゃんは妹のクラスメイトを完膚なきまでにデュエルで叩きのめしたり、スマホにストーカー的プログラム入れたりするのはいい兄さんじゃないでしょ。いい兄さんっていうのは草薙さんみたいな人の事を言うんじゃない?」
おっと、なまえからまさかの俺に向けての流れ弾
遊作の視線が物凄く痛いんだが
「あー…でもなまえ、お前も遊作に世話になってる事の1つや2つあるだろ。それに対して感謝すればいいんじゃないか?」
「お兄ちゃんに?……確かにお兄ちゃんにはいつも勉強を教えてもらってるけど…」
俺の言葉に少々考え込むなまえと先程までの鋭い視線から一転、少しだけ表情を和らげる遊作
…とりあえず今この場での俺の命は保証されたようだ
「…わかった。じゃあお兄ちゃんに感謝って事でチーズ味のホットドッグ、奢ってあげる。」
「いやなまえ、ホットドッグはほぼ毎日食ってるじゃ…」
「お兄ちゃん、それでいい?」
「ああ。」
「じゃあ草薙さん、作業が終わったらお兄ちゃんにチーズ味のホットドッグ1つ、お願いします。」
いいのか!?それでいいのか遊作!?
だが俺の心配等何のその、当の本人は満足気な表情で頷く様子を見せている
「…大事なのは何を貰うかじゃなく、誰に貰うかって事かねえ。」
今この場にAiや尊、不霊夢がいたら確実にツッコミの嵐だっただろうな
現在此処にいない比較的常識人達の事を思い浮かべ、俺は小さく苦笑を浮かべたのだった
お兄ちゃんは度が過ぎる過保護5
―――――
こんなお兄ちゃんは嫌だ。(5度目)