私の自慢の彼氏


「うわあ、すっごい雨。まさにどしゃ降りって感じ。」


ある月末の金曜日、ようやく仕事を終え軽やかな足取りで退社しようとした私の目に飛び込んできたのは大粒の雨が降り注いでいる光景だった



「今日、午後から雨降るって天気予報で言ってたかな……あれ?今日、天気予報一度も見てないような気が…」

「あれ、みょうじさんじゃん。傘は?」

「山本くん。」


玄関でうんうんと唸っていた私に声を掛けてきたのは同期の山本くんで、私が仕事等で疲れた時なんかに飴をくれたりするいい人だ


「天気予報を今日見てこなかったみたいで傘、持ってないの。」

「そうなんだ。じゃあ俺が送って…」



「なまえさん。」


そう言って山本くんが私の手を取ろうとした瞬間、何処からか私の名前が呼ばれる

キョロキョロと辺りを見渡すと直ぐ近くに見覚えのある人物が傘を差しながら此方を見つめていた


「了見くん!迎えに来てくれたの?」

「まあ、そんな所です。」


私を呼んでいたのは2つ年下の彼氏である了見くんで

彼は穏やかな表情を浮かべたまま私の手を取り、自らが差している傘の中へと引き入れる



「これ以上此処にいたら冷えますよ。帰りましょう、なまえさん。」

「あ、確かに。送ってくれようとしたのにごめんね山本くん、気を付けて帰ってねー。」


そう言葉を紡ぎ山本くんに手を振ったものの、何故かはわからないけど彼はがっくりと肩を落としているようだった



「でも了見くん、どうして迎えに来てくれたの?元々この後、一緒にご飯食べる約束してたのに。」

「なまえさんは少しぼんやりした人だから、傘を忘れたんじゃないかと思ったんです。予想通りでした。」

「凄いね了見くん!超能力者みたい!」

「なまえさんの事だけですよ。」


了見くんは年下とは思えない程大人っぽくてしっかりしてて、本当に私には勿体ない位ステキな彼氏だと思う



「でもちょっと心配だなあ。了見くんはカッコいいし、頭もいいし…他の女の子が寄ってくるんじゃないかって思ったりもするんだ。」

「なまえさん。…それは……ですよ。」

「え?」

「…いえ、何でも。そんな事より今日はなまえさんの手料理が食べたい気分なんですが。」

「いいよー。なまえさん特製のおいしいカレーを作ってあげるからね。」

「それは楽しみです。」



普段は大人っぽいけどたまに見せるこういう所が可愛いんだよね、了見くんは


一人でそんな事を考えながら笑っている私を見て、小さく笑ってくれる了見くんの姿が何だか嬉しくて

私はぎゅっと彼の腕にくっついたのだった


私の自慢の彼氏

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了見目線でも書きたいです。
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