きっと幸せなのは私の方


『なまえ、何だそれは。』

「これ?趣味で作ったハンドパペット!可愛いでしょー。」



現在私はパートナーである尊の元から少し離れ、彼の友人であるなまえの元に貸し出されている

その理由はまた追々説明するが、私の眼前でパクパクと人形の口を動かしてみせるなまえとその人形を見比べていた私はある事に気付く


『何だかそのハンドパペットという人形はなまえに似ているな。』

「あ、不霊夢ってば気付いたねえ。そうなの、最初は不霊夢のパペットを作ってたら何だか楽しくなっちゃって。ほら見て、身近な人達のパペットを作ってみたんだ。」



そう言ってなまえは引き出しから沢山のパペットを持ってくると私が見えるよう、床に並べ始める

身近な人達と言った通り、私を筆頭に尊や遊作、草薙殿、Aiといったお馴染みのメンバーが可愛らしくデフォルメされたパペットとなっていた



『ふむ。どれも素晴らしい出来だが、なまえのパペットが一番似ているな。可愛らしい。』

「え、そう?何か不霊夢に褒められると照れちゃうなあ……あ、そうだ!」


何か悪戯を思い付いたような表情を浮かべるなまえを不思議に思っていると、彼女を模したパペットが私の…人間でいう、口の部分へ軽く触れる程度に接触する



『なまえ?』

「えへへ、奪っちゃったー。」

『奪った?何をだ?』

「不霊夢のくちー。」


無邪気に、そして楽しそうに笑うなまえ

私は彼女のこの笑顔が好きだ


『なまえ。どうせならパペットではなく、なまえ自身の唇で奪ってほしいものだが。』

「不霊夢はさ、意外とストレートな物言いをするよね。」

『嫌か?』

「全然。だって私、不霊夢のそういう所が好きなんだもん。」

そう言ったなまえは私が宿っているデュエルディスクを手に取り、私に口付けを行う


なまえと出会った際、私は初めて一目惚れという感覚に陥った

そして本来ならば、この想いは内に秘めておくべきものだとも理解はしていた


だが良く言えば実直、悪く言えば単純な私が彼女への想いを隠しておく事等出来る筈もなく

正直になまえへ私の想いを伝えた所彼女は驚く程あっさりと私を受け入れ『私も不霊夢が好きだよ』と、そう言って笑ってくれた


その後私のパートナーである尊もなまえへの想いに理解を示してくれ、度々彼女に自身のデュエルディスクを貸してくれた為に私はこうしてなまえと二人だけの時間を満喫する事が出来ているのだ



「私ってば幸せ者だなあ。不霊夢と一緒の時間を過ごす事が出来て。」

『何を言うなまえ、幸せなのは私の方だ。』



この広い世界の中で人間に想いを寄せるAI等、おそらく私以外にはいないだろう


そしてこの想いを受け入れてくれたなまえと、AIの恋愛感情に理解を示してくれた尊


両者に出逢えた私は本当に幸せ者だと

そう思いながら私はなまえの頬に手を伸ばし、そっと口付けを落としたのだった


きっと幸せなのは私の方

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