僕だけが知る、彼女の可愛い部分


平日の早朝

まだ早い時間とあってほとんどの生徒がまだ登校していない中で教室に向かった僕は自席へと座り、隣の席の女子生徒に声を掛ける



「おはよう、みょうじさん。今日も早いね。」

「…穂村。」


僕が声を掛けたその生徒、みょうじなまえさんは女子にしては鋭い視線で僕を遠慮なく睨み付ける



「何度も言ってるだろう。用がないのに私に話し掛けるな。」

「用ならあるよ。僕がみょうじさんと話したいっていう用がね。」

「…鬱陶しいヤツ。」



相変わらずツンとした態度を見せているみょうじさんは所謂、一匹狼といった感じの女の子で

誰ともつるむ事なく、不用意に声を掛けると喧嘩を吹っ掛けられる…なんて噂まで立てられているクラスではかなり浮いた存在だった


でも僕は知ってるんだ

本当はみょうじさんが自分から喧嘩を吹っ掛ける事は全くないし、そもそも喧嘩だって悪さをしていた不良を注意した後仕返しとして彼等が吹っ掛けてきただけだし

前も捨てられていた犬猫を放っておけずに連れて帰ってた優しい所もあるし、今だってこんな早朝に教室へ来てるのだって予習復習の為であって、本当に頭が下がる位立派だと思う

それに…



「…ふふっ。」

「何を笑ってるんだ、気持ち悪い。」

「ごめんごめん。みょうじさんのそういう所、可愛いなと思ってさ。」

「なっ……!ほ…穂村!お前、私を馬鹿にしてるのか!?」



僕の言葉に対し、真っ赤な顔をしながら口をパクパクとさせるみょうじさん

みょうじさんのこの顔が本当に可愛いから、何度罵られようとも僕は彼女に声を掛け続けている



「馬鹿になんてしてないよ。本当に可愛いと思ったから、口に出しただけ。」

「う、うるさい!もう喋るな!」



そう言うが早いか否か、みょうじさんは赤い顔をしたまま教室を出ていってしまう


本当は彼女に対する皆の誤解を解いてあげた方がいいのかもしれないけど、僕はそこまでいい子じゃないから事実は内緒にしている

だって、みょうじさんの可愛い部分を皆に知られたくないからね


僕だけが知る、彼女の可愛い部分

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男の子っぽい口調の女の子を初めて書きました。
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