いつまでも可愛い弟分ではいられない


「あっ、了ちゃんだ。久しぶりだね。」

「…なまえさん。」


日もすっかり落ち、夜空に星が輝き始めた時間帯

少し夜風にあたろうと外に出てスターダスト・ロードを眺めていた所、仕事帰りと思しき幼馴染のなまえさんが声を掛けてきた


「なまえさん、なんて他人行儀な呼び方になっちゃったね。昔はなまえお姉ちゃんって呼んでくれてたのに。」

「それは昔の話でしょう。なまえさんの方が少し年上ですし…軽々しく名を呼ぶのは止めた方がいいと、そう思ったので。」

「それはそうだけど……何かちょっと寂しいなあって思って。だって私にとって、了ちゃんは今でも可愛い弟みたいな存在だから。」

「…弟、ですか。」



私の隣に座り、眩しい位の屈託ない笑みを浮かべるなまえさんは幼い頃から全く変わらない

いつも明るく朗らかで、まるで姉のように優しく接してくれる


そんななまえさんに淡い想いを寄せるようになったのはもう随分前の話だ

しかし彼女が私の想いに気付く事はなく、それどころか私をいつまでも自分の弟分だと認識しているようだ



「あれ…もしかして了ちゃん、私が弟扱いしてる事に怒ってる?」

「怒ってはいません。…ただ、なまえさんは少しだけ無警戒過ぎるかと。」

「無警戒?」



此方を見上げながら小首を傾げるなまえさんの姿が愛らしく、私は彼女の片手を掴んで自分の方へと引き寄せる



「了ちゃん?」

「いつまでも可愛い弟分だと思ったら大間違いだ。…なまえ。」

「えっ……え、ええっ!?」



おそらく可愛がっていた弟のような存在にそんな事を言われるとは夢にも思っていなかったんだろう


真っ赤な顔をして慌てふためくなまえさん…いや、なまえがとても可愛らしくて

未だ落ち着かない様子の彼女に対し額に一つ、小さな口付けを落としたのだっ



いつまでも可愛い弟分ではいられない

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了ちゃん呼びの主人公が何となく思い浮かんだので。
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