願わなくとも叶う願い
「うわあ…!見て見て了見、満天の星空とスターダスト・ロード!すっごくキレイ!」
とある週末の夜
夕方から恋人のなまえが私の所へ泊まりに来たのだが今日は珍しくスターダスト・ロードが見られる条件も揃った上、天候にも恵まれたらしく
夜空には満天の星空が辺り一面を覆い尽くし、眼下の水辺には眩いばかりのスターダスト・ロードが広がっていた
「なまえ、少し落ち着いたらどうだ。」
先程からなまえは興奮気味に星空と水面を交互に眺めている
まるで落ち着きがない子犬のようだ
「だってこんな光景、滅多に見られないもん。興奮しちゃうよ!…あっ、流れ星!」
すると今度は一転、なまえは神妙な面持ちで何かを願うように両手を併せる
大方流れ星に願いを託しているのだろう
「……よしっ。ねえ了見、了見は今の流れ星に何てお願いした?」
「私は何も願っていない。願いを叶えるも叶えないも、全ては自分の努力次第だ。」
「うーん、そりゃそうだけど…了見はロマンがないなあ。」
見るからに表情をふてくされさせるなまえの様子を可愛らしく思いながら、私はそっと彼女に尋ねる
「なまえ。流れ星には何を願ったんだ?」
「ん?えーっとね、これからも了見とずっと一緒にいられますようにって!」
「…それは必要ない願いだな。」
「どうして?」
理由がわからないのか不思議そうに尋ねるなまえに対し、私は両手で彼女の頬を覆いながらそっと唇を重ね合わせる
「……っ!?」
「願わなくとも、私がなまえを手放す気は毛頭ないからな。」
そう伝えれば真っ赤な顔をしながら私の体を何度も叩いてくるなまえ
そんな姿がいじらしくて、可愛らしくて
私はもう一度、彼女に口付けたのだった
願わなくとも叶う願い
―――――
-OZONE-聴いてたら出来上がりました。