嫉妬深くて可愛い、私の彼氏


「ふー、今日も大盛況だったなあ。」



LINKVRAINSで行われていた活動を終えた私は一休憩しようと特設ステージから離れ、軽やかな足取りでとある場所に向かう


「あばたーー!」

「またライブ、見に行くよー!」



そんな私に向かって手を振ってくれるファンの人達


一応私はLINKVRAINSで活動しているデュエリスト兼、ネットアイドルといったような存在で

ブルーエンジェルとまではいかないものの、結構な数のファンがいるのだ


ちなみに今日はライブ活動をする名目でLINKVRAINSに来ていたが、私の本当の目的は別にあった



「お待たせ、健碁。」

「此処でその名は呼ぶな、あばたー。」

「あー、はいはい。ブラッドシェパード。」



そう、今日の私の目的は恋人である健碁こと、ブラッドシェパードに会う事だったのだ


最初は私も健碁も相手がLINKVRAINSにいる事を知らなかったが互いのデュエルボードが接触しそうになって言い争いに発展しそうになった際、その口振りからお互いに今話しているのが自分の恋人だと気付いた

それからこうして時間が合う時はLINKVRAINS内で会っていたのに、何故か今日の健碁は機嫌が悪そうに見える



「どうしたの?今日はすっごい不機嫌そうに見えるけど。」

「…何故、」

「へ、何故?」

「今日のお前のイベントには男しかいなかったんだ。」

「だって今日は男子限定、ライブイベントの日だったし。言ってなかったっけ?」

「俺は聞いていない。」


そう言った健碁の今の表情はアバター故によくわからない

それでも彼が多くの男性ファン相手に嫉妬していた事は手に取るようにわかった為、思わず笑みが零れてしまう



「…あばたー、何を笑っている。」

「え?だって、ブラッドシェパードも可愛い所があるなあって思って。」

「俺に可愛い所等ない。」

「まあまあ。今日の夕飯は私特製のオムライス、作ってあげるからさ。楽しみに待っててよ!」



そう宣言して彼に抱きついてみたものの、あっさりログアウトされてこの場から逃げられてしまう


「もー、健碁ってば素直じゃないんだから。」



でも意外とああいうヤキモチ焼く所が可愛いんだよね、健碁は

私しか知らない彼の一面を見れた事で嬉しくなった私は彼を追うようにログアウトしたのだった


嫉妬深くて可愛い、私の彼氏

―――――
小悪魔的な感じを出そうとしましたが、そもそも小悪魔がよくわかりませんでした。
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -