恋はいつでも突然に
「…あっ、またあの子だ。」
私が今いるのは早朝のコンビニ
そこで私はアルバイトをしているのだがここ最近、外掃除をしている時にある男の子がよくその前を通っていく事に気が付いた
「おはよう。今日も暑いね。」
「…おはようございます。」
その子は青とピンクの何ていうか…何とも説明し難い髪型をした物静かな感じの男の子で
制服から察するに近くの高校に通う高校生のようだ
「なまえ、大した返事も返ってこないのにまだあの子に声掛けてるの?」
「いいの、私が好きでやってるんだから。それにおはようって言ったらおはようって返してくれるし。」
「それ普通じゃない?」
同じ早朝バイトをしている友達からは絶賛飽きられているが、私が好きでやっているのだから大した返事が返ってこなくても全く気にならない
それにあの子、ちゃんと目を見て挨拶してくれるから悪い子じゃないってわかるしね
そんな日常を続けていたある日
私は季節外れの風邪を引いてしまい、その日はマスクを付けて外掃除をしていた
そしていつも通りあの子が通り掛かった為、声を掛ける
「おはよ……っ、くしゅ!」
だがくしゃみが先に出てしまい、挨拶もままならない
…ああ、絶対『コイツ風邪引いてるのか、さっさと帰れよ』とか思われたよ
そう考えてその子を見ていた所、何を思ったか彼は私のバイト先のコンビニに入っていった
と思ったら30秒もしないうちに出てきて、その子は私に何かを差し出してくる
「…あの、これは?」
「風邪。」
「え、風邪?」
「風邪を引いてると思ったので。…どうぞ。」
それだけ喋るとその子は足早に去って行ってしまった
「…どうしよう。不覚にもキュンとしてしまった。」
彼が手渡してくれたはちみつ味ののど飴を握りしめ、私は友達が呼びに来るまでその場を動けずにいたのだった
恋はいつでも突然に
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風邪には気を付けましょう。